美術館で働くということ

ジンバブエの首都ハラレの日曜日のお昼に読んだ。

子供が学芸員の仕事に関心を持ち始めている。私も大学に入るときに考古学などの歴史学方面に行くか、経済学部に行くか一瞬迷い、今でも美術館・博物館に通うことは好きなので学芸員という仕事に関心がある。

この本で取り上げられている現代アートの世界だと、作者の作品を作る活動をサポートする役目もあるのだなあと思う。「あとがき」にも書かれていたけれども、書籍の編集者のような部分もあるんだ。

豊臣大坂城 秀吉の築城・秀頼の平和・家康の攻略

出版されてから読みたいと思っていた本。ちょうど日本に帰って来ていて見たブラタモリで大阪が取り上げられたこと、大河ドラマ真田丸大坂冬の陣に差し掛かっていたことをきっかけにKindle版を購入。ジンバブエに向かう機内で読み終えた。

現在の大坂城の下に豊臣時代の大坂城の遺構があることは前々から知っていたし、Facebook「太閤なにわの夢募金 豊臣石垣公開プロジェクトをフォローしていたけれど、豊臣期の大坂城の整備が四期に渡っていること、各期の状況が考古学成果で明らかになりつつあることは知らなかった。この本の冒頭に

近世城郭の天守や本丸御殿の建造物に興味がいきがちであるが、近世城郭の価値の軽重は、外郭にあるといっても過言ではない。豊臣大坂城においても外郭の築造のあり方、大坂の陣の攻城戦を通してのその意義に、重点をおいて執筆した。

とあるが、大坂城の総構や三ノ丸の部分はまさにそのように記述されている。

もう一つ興味美かかったのは、方広寺の鐘銘事件くらいまでは東国の徳川幕府と西国の豊臣政権の二元体制であって、豊臣家が関ヶ原の合戦の結果、65万石の一大名となったわけではないという点。となると、この状況からの方向転換を図った方広寺の鐘銘事件がいかに重要な出来事だったかということになる。それ以外にもこれまで当たり前だと思っていた「通説」に対する指摘がいくつもあり、それは「真田丸」の放映後に丸島先生がツイートされることと整合している。歴史は書き換えられていくのだなあということを感じる。

数学ガールの秘密ノート やさしい統計

「数学ガールの秘密ノート」シリーズの最新版「やさしい統計」、Kindle版が出たので11月10日に購入し、「場合の数」を飛ばして読み始めた。2016年最後のジンバブエへの出張に向かう機内で読み終えた。

「数学ガールの秘密ノート」シリーズは、すごーくやさしいところから話が始まって、ある部分で一気にレベルが引き上げられる感じを持つ。「やさしい統計」では、グラフの見方*1から始まって、この本では「第3章 偏差値の驚き」くらいでグッと引き上げる部分があったかなと思う。

標本による母集団の推定の部分を続編で読んで見たいなあと思う。

追記

気づいたら「数学ガール」ファンの子供が結城先生のメッセージ入り「書籍版」を入手していた。自分から進んで手を伸ばしてくれるようになって嬉しい。そしてちょっと羨ましい。

Amazon.co.jp: 数学ガールの秘密ノート/やさしい統計 電子書籍: 結城 浩: Kindleストア

*1:グラフはグラフを描く人の意図が入っているという話。統計とは直接関係ないように思えるかもしれないが、とても重要なこと。

「禅 心をかたちに」と「平安の秘仏 櫟野寺の大観音とみほとけたち」

昨日の松濤美術館に引き続き、今回日本に帰国している間に観に行きたいと考えていた東京国立博物館の特別展、「禅 心をかたちに」と「平安の秘仏 櫟野寺の大観音とみほとけたち」を見に行った。

「禅 心をかたちに」

黄檗宗を含む臨済宗にまつわる歴史的遺産を「これでもか」と集めた感じで圧倒された。最初の展示では、表面に塗られた漆を取り去って製作時の状態に戻した蘭渓道隆像が印象に残った。

中盤では戦国武将と禅の関係をまとめた第3章、後半では2つの天目茶碗(油滴天目、灰被天目)と一番最後の狩野元信、長谷川等伯伊藤若冲の障壁画がよかった。

特別出品の伊藤若冲の鷲図、旭日雄鶏図を見ることもできた。

「平安の秘仏 櫟野寺の大観音とみほとけたち」

引き続き櫟野寺の十一面観音と仏像を見に行く。こちらは「禅」展ほどの人出ではないだろうと思って行ったら、思いがけずこちらもお客さんが多かった。

櫟野寺は滋賀県甲賀市のお寺。「禅」展に展示があった永源寺も近い。琵琶湖の南や西は興味深い寺院がたくさんあるが、実家からもそれほど遠くはないので、一度訪ね歩いてみたい。

月―夜を彩る清けき光

招待券をもらったので、夕方、薄暗くなった時間に松濤美術館に行く。渋谷の街を抜け、松濤の坂をずっと登って繁華街から住宅街に変わったところにある区立の美術館。

月にまつわる文学、絵画、工芸品を集めた展覧会。平日の夕方にしては思った以上にお客さんが多くて驚いた。