随想録

時間を掛けてちびちびと読んだ。ようやく読み終えた。
この本を読み始めたのは、やはり金本位制からの離脱や日銀引き受けを行う中で彼がどんなことを考えていたのか知りたかったから。
「経済難局に処するの道」を読むと、金本位制からの離脱の中で高橋是清が気にしていたのは、対外的には輸出を増やすこと、国内的には近郊を失ってしまった供給と需要のバランスを取り戻すこと、低金利をもたらして事業経営者の負担を減らし、資本の報酬と労働の報酬を近づけることだと言っている。
財政赤字の拡大については、石橋湛山との対話「経済清談」の中で、借金が増えてもその結果国の富が増えれば問題ない。日銀引き受けについても「経済難局に処するの道」の中に日銀引き受けをしてから買い入れ希望者に売っていること、目下の物価状況であれば悪性インフレが起こることは起こらないと考えていることなどを話している。
これ以外にも、昭和金融恐慌時のエピソード、戦前の政党政治、明治期の殖産興業、日露戦争時の外債の募集、一人の人間がこんなにもいろんなことを経験するかというエピソードが語られている。日本という国もよくも悪くも若かったんだなあと感じる。

随想録 (中公クラシックス)

随想録 (中公クラシックス)