東京どこに住む? 住所格差と人生格差
この本も東京βとともに発売当初から電子書籍が出るのを待っていたけれど、出る気配がないので新宿南口の紀伊国屋書店で購入。東京β以上に関心を持って読んだ。
東京中心部(中心の5、6の区)への一極集中、食と住の近接という現在起こっていることを確認し、東京中心部への一極集中の背景や人が都市に住む理由を考察する。フード左翼とフード右翼でも感じたが、参照している本にも興味のあるものが多い。
全体の中で「なるほど」と思ったのは以下の3つ。
第1は土地の持つ意味の変化について。
土地があれば安心。それを貸すだけで生きていける時代もあったが、それはすでに崩壊しつつある。その中で、いかに柔軟な考えを持って、土地を離れることができるか。住む場所を変えることができるかは、これからの日本人にとって大きな意味を持つ能力ということになってくるのだ。
さらにここから話が発展して、現在は「土地」ではなく「住む場所」が資本になっているのではないか、さらに発展して「教育が、富裕階層がその優位性を維持するためにもっとも有効な「資本」になっているのだ」という指摘。
第2は第二次安倍内閣は「地方創生」に示されるように、橋本政権・小泉政権以来の「都市への集中」から歴史的な地方分散に舵を切ってしまったのではないかという指摘。私自身は「地方創生」は今のところある種のガス抜き、掛け声だけという感じがしているが、これが本格的に地方分散に向かってしまわないかどうか、注意は必要だと思う。
第3はアルビン・トフラーの予測の中で、都市化に関する予測が外れた理由について。
まずは、輸送コストが下がったときに起こることの予測を誤った。輸送コストが安くなることで、確かに工場や倉庫や配送センターなどは、都市を離れて地方に分散した。だが、知識集約産業の場合、その分散によるコスト削減効果を働かない。むしろ、現代のソフトウェア産業などにおいては「産業の知識集約度が高ければ高いほど、その産業は小さなエリアに集中する」のだと前出の経済学者であるハーフォードはいう。トフラーは、工業における産業集積の効果は把握していたが、脱工業化の時代に集積がさらに重要になるとは思わなかったのだ。
追記
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