日本人の叡智

以前に自炊したまま、ずっと放ったままにしていた本を出張先で読んだ。夜寝る前などの時間にちびちび読んで、一週間ほどで読了。

江戸時代初期から平成の時代までの98人の一言から、その言葉の意味すること、その人となりを2ページごとにまとめている。もともと、朝日新聞土曜版に連載されていたもので、そのきっかけは著者が古書を読む中で心に残った知った人物や言葉に触れた思いを残していきたいと思ったことだそう。

「あとがき」を見ると2011年3月23日の日付で、連載の終了は決まっていたが、東日本震災の影響で突然の終了となってしまったとのこと。当時茨城大学にいた著者の震災体験とその後の放射線被害の恐れの中での蔵書や古書の整理の記述が生々しい。

全体を眺めると、江戸時代には歴史の授業で習うような人よりも今まで聞いたことのなかった人の名前が並ぶが、時代を経るに従って知っている人の名前が多く並ぶようになってくる。後世に今の時代の普通の人たちの言葉が残るようなことはあるのだろうか、と思った。


日本人の叡智 (新潮新書)

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