ストーリーで学ぶ開発経済学

8月末から9月の初めに出張先のナミビアで紙の本で読んだ。

とてもよく出来た開発経済学の入門書。自分が学生だった1990年代の初めからすると、開発経済学自体も、テキストもすごく進歩している。「アスー国」という仮想の国を設定し、そこに住む人たちのエピソードから各章のストーリーを始めることによって、日本とは大きく違う途上国の状況が読み手にイメージできやすくすることを助けている。

それから、2000年くらいから以降の開発経済学の発展の方向性(ミクロ経済学行動経済学を合わせ、さらにRCTを使った実験経済学的なアプローチによる途上国の農業、保健、教育などの分野の理解)も良く抑えられているので、自分のように、昔、開発経済学を学んだものでもそれがどのように変化してきたか理解できる。参考文献も豊富に紹介されている(読書ガイドもある)ので、自分の関心のある分野を深掘りすることができる。

「恩返しをしたい」というのが、本書執筆の動機でした。

で始まる自著の紹介のWebサイトもアツいものがある。

9章からなる本論の後ろに2つの補論があり、フィールド調査の方法やRCTの評価方法が簡単に解説されている。自分が学生の頃には、途上国にフィールド調査に行くというのは高い壁があったように思うので、いろいろと変わったんだなあということを改めて感じる。

ストーリーで学ぶ開発経済学 -- 途上国の暮らしを考える (有斐閣ストゥディア)

ストーリーで学ぶ開発経済学 -- 途上国の暮らしを考える (有斐閣ストゥディア)