豊臣大坂城 秀吉の築城・秀頼の平和・家康の攻略

出版されてから読みたいと思っていた本。ちょうど日本に帰って来ていて見たブラタモリで大阪が取り上げられたこと、大河ドラマ真田丸大坂冬の陣に差し掛かっていたことをきっかけにKindle版を購入。ジンバブエに向かう機内で読み終えた。

現在の大坂城の下に豊臣時代の大坂城の遺構があることは前々から知っていたし、Facebook「太閤なにわの夢募金 豊臣石垣公開プロジェクトをフォローしていたけれど、豊臣期の大坂城の整備が四期に渡っていること、各期の状況が考古学成果で明らかになりつつあることは知らなかった。この本の冒頭に

近世城郭の天守や本丸御殿の建造物に興味がいきがちであるが、近世城郭の価値の軽重は、外郭にあるといっても過言ではない。豊臣大坂城においても外郭の築造のあり方、大坂の陣の攻城戦を通してのその意義に、重点をおいて執筆した。

とあるが、大坂城の総構や三ノ丸の部分はまさにそのように記述されている。

もう一つ興味美かかったのは、方広寺の鐘銘事件くらいまでは東国の徳川幕府と西国の豊臣政権の二元体制であって、豊臣家が関ヶ原の合戦の結果、65万石の一大名となったわけではないという点。となると、この状況からの方向転換を図った方広寺の鐘銘事件がいかに重要な出来事だったかということになる。それ以外にもこれまで当たり前だと思っていた「通説」に対する指摘がいくつもあり、それは「真田丸」の放映後に丸島先生がツイートされることと整合している。歴史は書き換えられていくのだなあということを感じる。