ネットvs. リアルの衝突

昨年いい意味でも悪い意味でも世間を騒がせたWinny事件をきっかけに書かれた本。そのために全11章のうち、6章がWinnyに関する話題に割かれている。それ以外にはOSの標準化、オープンソース、インターネットのガバナンス、デジタル家電iPodウェブ2.0を扱っている。
一般にはWinnyはウイルスに寄る情報漏洩が話題になったが、この本で重視されているのはP2Pでエクのロジーによる既存の著作権への挑戦。そこから話題が展開し、国家によるネット界への介入を巡って最終章で再びウェブ2.0による個々のフラットなつながりと、最初のP2Pに近い話に循環しているように感じた。
ちょっと気になるのは本のタイトルや扉の紹介。ネット世界とリアル世界の衝突はそうかもしれないけれど、「誰がウェブ2.0を制するか」というタイトルや表紙をめくったページの文章はちょっと...。こういう部分やプロモーションは、著者の以前の書でも感じたが、文春新書の関係者のネット世界への理解が薄すぎるんじゃないかなと思う。