2012-01-01から1年間の記事一覧

円高の正体

この本に書かれているレベルのことがもっと広まって行けば、テレビや新聞で目にするおかしな議論に対しても普通の人でも「あれ?」と立ち止まることができると思う。例えば、「円高は悪いこともあればよいこともある」というのが普通に言われることだけれど…

一冊でわかる古事記

モザンビーク北部、ニアッサ湖(普通はマラウィ湖と言われているけれど、モザンビークではこの呼び方)の畔でちょっとしたアクシデントがあり、足止めを食った。その時間に一気に読了。 この著者はこの平凡社新書で今年、去年取り上げられた人物を扱っていて…

本当の経済の話をしよう

この本もモザンビーク北部をうろうろする空き時間に読んだ。全く経済学の知識がない人が最初に読む本としては、今のところこれが一番いいと思う。 マンキューは経済学の10大原理を掲げたけれど、この本ではもっとシンプルに「インセンティブ」、「トレード・…

飯田のミクロ

モザンビークの北部を回りながら読んだ。移動する飛行機の中で読了。 普通のミクロ経済の教科書は部分均衡分析を学んでから一般均衡分析に入り、一般均衡分析はちょこっと扱う程度*1。でもこの本は消費者や企業の行動原理を説明して一般均衡分析に向かうのが…

ウェブで政治を動かす

初めてKindle版の(コミックでない)本を読んだ。「新しかった」(第3世代)iPadで読んだので少々手が疲れた。 審議会方式の問題点*1、ソーシャルメディアとマスメディアの関係、ネット世論、ネット選挙、政治家のソーシャルメディア活用、ソーシャルメディ…

国際貢献のウソ

主に平和構築畑で国際NGO、国際機関、日本政府で働いてきた著者の見る援助の世界とその改善について。多くは自分の仕事に関連する、特に4章部分は自分の仕事と完全に重なる部分で著者の言うことに理解できる点も多い。 財政状況が厳しい中、日本政府は円借款…

iPS細胞

これも前々から読もうと思っていたのを山中教授のノーベル生理学賞受賞を機会に手に取った本。日本からモザンビークに向かう機中で大部を読んだ。 ノーベル賞受賞直後から改めてiPS細胞の意義がTVなどでも放映され、この本の著者の八代さんもよくお見かけす…

ブレイクスルーの科学者たち

今年のノーベル生理学賞受賞が決まった山中教授を筆頭に、11人の科学者の活動が取材されている。科学者たちの研究のエピソードには、複数の分野にまたがる分野だったり、ニッチなものだったりという話が共通している。こういう状況の中、多くの人はグループ…

心に訊く音楽、心に効く音楽

9月半ばにラオスから帰国した後も、仕事がばたばたしてなかなか落ち着いて本を読めるような状態にならない。では軽いものを、ということで手に取った本。「語りおろし」のような感じで、さくっと読むことができた。 幸宏さんの音楽遍歴や、YMO、BEATNIKS、Pu…

都市と消費とディズニーの夢

7月、8月、9月のラオス出張の後半は、貧乏人の経済学をちびちび読んでいたけれど、なかなか本を手に取る時間が取れなかった。帰国してしばらくたって、ようやくこの本を読んだ。 現在の都市開発では、隆一かという制約の下で、公共性の高い場所であっても(…

この世で一番おもしろいマクロ経済学

大著のこれとこれを読んだあとにさっくりしたもので、ということで読んだが、内容は濃い。印象に残った部分を挙げておくと、 マクロ経済学の目的は、短期の経済安定と長期の経済成長。短期の経済安定を見るのは実質GDPの動き、長期の経済成長を見るには一人…

銃・病原菌・鉄(下)

上巻を読み終わってから一ヵ月かかってようやく下巻も読み終えた。 下巻は技術(文字や発明)、社会の構成と各論(オーストラリアとニューギニア、中国、太平洋の島々、アフリカ)などの話。上巻を引き継いで食料生産をより生産性の高い状態でできたユーラシ…

銃・病原菌・鉄(上)

今回、ラオスの南部にも持って行き、日本への一時帰国の機内で読み終えた。 スペイン人がインカ帝国を滅ぼしたように、なぜヨーロッパ人が南北アフリカ大陸やアフリカに進出することができたのか、その逆はなかったのか、ということを深く考えていく。ヨーロ…

この世で一番おもしろいミクロ経済学

最近、マクロ経済編が発売されたが、先週からようやくミクロ編を読んだ。 自分が学生の頃にはこんな本があったが*1、これに比べるとゲーム理論を加えることで個人の最適化、相互関係における最適化、市場の最適化と、「個人から市場へ」の流れをすっきりさせ…

神も仏も大好きな日本人

最近、結構なボリュームの「銃・病原菌・鉄」をずっと読んでいるのだが、ラオスの南部の方に出かけたり、その後のまとめでばたばたしていて、なかなか読み進めない。今日も仕事を進めなければ行けなかったのだが、10時半頃から18時半頃までずっと停電になっ…

大阪維新 橋本改革が日本を変える

ビザの更新のため、サバナケットとウドンタニに往復する車中と、ウドンタニのショッピングセンターで読んだ。 第1章と第7章の日本経済の苦境や欧州経済の東側への拡大が書かれている部分はちょっとなあと思うが、自治体の持つストックの有効利用の必要性、日…

よいこの君主論

本物の「君主論」は読んだことがないし、君主を目指している訳でもないので、これからも読むことがあるかどうか分からない。でも、この本で「こういう感じかあ」というのを味わうことができた(のかな)。ご本人(ニコロ・マキャベリ)による解説もなかなか…

数学を知らずに経済を語るな!

「高橋先生の本はTwitterやWebサイトで書かれていたことと重なるので、ついつい積んどくになる」とTwitterに書かれていたが、この本はこれまでとちょっと毛色の違う本。新聞やテレビに書かれたこと(その多くはこの本に書かれているようにいつの間にか選択肢…

スマートテレビ

まだニコラス・ネグロポンテがWiredに連載を書いていて「アトムからビットへ」と言っていた頃、ネットとテレビで人間の目玉の取り合いをするんだと書いていた記憶があるが、自分に関しては完全にテレビの敗北である。 日本にいる時にも食事をする前後くらい…

日本建替論 100超円の余剰資金を活用せよ

田村氏の100兆円の外貨資産の日銀への売却・日銀資金の発行のアイデア(借金経済から貯蓄活用経済への転換という視点が面白い)、田中先生の震災時の経済学者の活動(特に小泉信三、福田徳三、石橋湛山の3者)に関する小論、巻末の言葉(平時の官僚的な思想…

僕がアップルで学んだこと

アップルの日本法人、米本社でマネージャーとして働いていた人の書いた、アップルの復活や(アップルだけに限らず、欧米企業での)働き方の本。アップルの復活やアップルの強みを書いた部分では、アメリオを改革を始めた人として一定の評価をしていること、…

なんでコンテンツにカネを払うのさ?

本書では、完全なコピーが簡単にできるデジタルな世界の中で著作権をどう考えるかという点が対談のテーマになっている。最終的にはクリエイターがコンテンツ自体から収益を得るのは難しくなり、その周辺で評価経済・贈与経済的な要素を含みながら少数のクリ…

東南アジアを学ぼう 「メコン圏」入門

GMS Sug-regionの3つの経済回廊(南北回廊、東西回廊、南回廊)を鉄道やバス旅の視点から書いている。いつの間にか自分も、南北回廊のハノイ〜ラオカイ、昆明〜ホイサイ間、東西回廊のラオス内、南回廊のプノンペン周辺を走り、今回もちょうど東西回廊のとこ…

体制維新−大阪都

いろいろ言われている橋下大阪市長、できるだけ本人の考えているものをと思ってこの本を手に取ってみた。 大阪都の考え方(広域行政と住民に近い基礎自治体への分離)自体はなるほどと思うし、それを実行するためには国の既存制度がネックになってくるという…

ジョブズは何も発明せずにすべてを生み出した

薄い新書ですっと読めてしまい、スティーブ・ジョブズ脅威のイノベーションと重なる部分もあるけれど、こちらの本の方が読み応えがあると言うか、何度も目を通すに足る感じがする。「イノベーション」と「発明」は別物で、「イノベーション」はもっと愚直で…

謎とき平清盛

今年の大河ドラマはNHKの有料海外放送を見ることができなかったウガンダの田舎に行っていたこともあってすっかりついていけてない状態だけど、この本は面白かった。 歴史ドラマの時代考証というのを筆者はどう考えるかということから始まって、平安末期から…

福沢諭吉に学ぶ思考の技術

同時期に書かれ、この本の姉妹編にあたる「経済学的思考のすすめ」は去年の6月に読んだけれど、この本を読むのはすっかり遅くなってしまった。ビエンチャンに向かう機内で読了。 個人の思考の技術というより、議論の技術という感じかもしれない。議論(話し…

日本の伝統

以前、NHK BSの「日本の庭園」という短時間の番組で慈照寺(銀閣寺)を紹介する時にこの本の一節が紹介されていて、関心を持った。 伝統とは、骨董を愛でるように無批判に受け入れる対象ではなく、古くから残っているものを現在の目で批評して残るもの。こう…

確率・統計思考で世の中のカラクリが分かる

2月の初めにウガンダ北部の田舎からカンパラに戻ってきて2週間、ずっとホテルに缶詰だったがウガンダの次の仕事の準備が忙しく、なかなか本を読み進めかかった。カンパラからふたタブ北部に向かう車の中でようやく読み終えた。 この本は大きく分けて3部構成…

借金を返すと儲かるのか?

「会計の知識 for the rest of us」という感じだろうか。貸借対照表とか損益計算書を道具として使う人のための入門書。 財務諸表のあまり細かいところは扱わずに、ブロックを扱う感じで説明している。「キャッシュフロー計算書を見なくても貸借対照表を見れ…