円高の正体

この本に書かれているレベルのことがもっと広まって行けば、テレビや新聞で目にするおかしな議論に対しても普通の人でも「あれ?」と立ち止まることができると思う。例えば、「円高は悪いこともあればよいこともある」というのが普通に言われることだけれども、著者はドル/円レートと名目GDPとの関係で「日本全体にとっては円高は明確に悪」と言い切っている。
面白かったのはソロスチャート*1とドル/円レート、修正ソロスチャート*2とドル/円レートの対比。2002年から2007年までのソロスチャートと為替レートの連動が見られなかったところもかなり説明できるし、「期待」の重要性を示唆するものとして興味深い。

円高の正体 (光文社新書)

円高の正体 (光文社新書)

*1:中央銀行が供給するマネタリーベースの量の単純な動きで、ここではFRBのマネタリーベースを日銀のマネタリーベースで割った値の推移。

*2:日銀のマネタリーベースのうち、法定準備金を超えて当座預金に残されている金額を差し引いたものを使ったもの。