2015-01-01から1年間の記事一覧

ベーシックインカム 国家は貧困問題を解決できるか

田中秀臣先生の主宰する「2015年心に残る経済書ベスト20」で1位になった本書を、2015年もあとわずかという時期にようやく読了。 2015年3月に日銀審議員になり、Wedgeのコラムや本はしばらくは読むことができなくなるかもしれない、と思いつつ読んだ。 ものご…

21世紀の資本

2014年の年末に紙の本を買い、2015年初めに自炊して読み出した。iPad miniの小さな画面ではこの本のサイズを読むのはちょっと辛く。もっと大きな画面で読むためにと思ってiPad Air 2を買ったが、4月末にKindle版が出たので買ってしまった。12月の年の瀬に入…

ネットフリックスの時代

出張先のバングラデシュで読了。1年の半分以上を海外で過ごしていることもあって、なかなかテレビを見る機会はない。NetflixやHuluが日本でサービスを始め、Amazonがプライムビデオでプライム会員であればそのまま見ることができるというのも、なんか自分の…

知的生産の技術とセンス 知の巨人・梅棹忠夫に学ぶ情報活用術

梅棹忠夫の「知的生産の技術」をはじめとする彼の著作に描かれている情報の収集・蓄積・活用の方法をヒントに、それを今の時代にデジタルツールを使って行うためにはどうすればよいか、について書かれた本。この本に書かれている「巨人の肩に乗って」先人の…

世界は危機を克服する ケインズ主義 2.0

ジンバブエの出張から帰国する10月末に読み始め、ナミビアへの出張を挟み、バングラデシュん向かう飛行機の中でようやく読み終えた。もうちょっとインテンシブに読みたかった。リーマンショック以降の世界経済危機がどのように生じ、それに対して各国の政策…

歴史認識とは何か

自炊をして読んだが、読み終えた後にKindle版が出て、改めて自炊本にチェックした部分を読み直してみた。著者は序章で日本の歴史教育の問題点は歴史理論を学ばないことにあるとし、史料に基づいて研究を深めていけば、普遍的に受け入れ可能な「歴史的事実」…

数学ガールの秘密ノート 整数で遊ぼう

数学ガールの秘密ノート 式とグラフに引き続き読んだ。Kindle固定レイアウト版での読書記録の取り方を考えるために2回読んだ。1回目はそのまま、2枚目はiPad Air2上でスクリーンショットを撮って、GoodNotesでマーキングやメモをしながら。メモは取れるが読…

数学ガールの秘密ノート 式とグラフ

数学ガールは以前読んだけれど、中盤以降かかなり苦労して読み進んだ。やっぱりもっと初歩から行かなければと思ってこの本を手に取ってみた。「算数」の世界から「数学」の世界に入ってきた中学生が読むのにちょうどいい感じ。つるかめ算で現実の世界と数式…

羽生善治 闘う頭脳

この本もチビチビと読み進め、ハラレに来て最初の日曜に読み終えた。 羽生さんとは同じ1970年生まれなので、いつもタイトル防衛やタイトル奪取のニュースが気になっている。七冠を達成した1995年頃からの記事といくつかの対談記事のまとめ。対談記事は20代半…

辞書編纂者の、日本語を使いこなす技術

ジンバブエに仕事に向かう途中、ヨハネスブルグに向かう機中で読了。 雑誌の連載をまとめたものなので、一つ一つの話のまとまりは小さく、息抜きの読書にちょうどいい。なるほどと思ったのは、 敬語をうまく省いて職場の同僚などとの関係を知覚すること 「わ…

逆流するグローバリズム

数日間寝る前にちびちびと呼んで読了。竹森先生の本は、「欧州統合、ギリシャに死す」が出ているけれど、なかなか追いつかない。この本はタイミングよく出版するために、これまでと違って口述筆記の形をとったそうでとても読みやすかった。 2015年春までのギ…

ウソを見破る統計学

講談社ブルーバックスシリーズの本を電子書籍で読むのは初めてだけれども、縦書きでこれだけ数式などを書いてあるわけでないのであれば、固定レイアウトじゃなくてもいいのではないかと思うのだが。メモやしおりを置くこともできないし。 「統計学入門」の前…

「昭和天皇実録」の謎を解く

久しぶりに自炊した本を読んだ。読み終わって確認したら、Kindle版も出ていた。 この本を手に取った理由の一つは磯田先生が著者(というか対談者)に入っていたからなのだが、幼少期、青年期だけでその後は半藤一利、保坂正康を中心に御厨貴が参加する構成だ…

NHKさかのぼり日本史(6)江戸 "天下泰平"の礎

「さかのぼり日本史」という本なので、江戸時代を扱っているこの本は幕末から三大改革の時代、新田開発の時代、戦国時代を引きずった島原の乱と遡っていくのだけれど、この本の面白いのは、外国船の来訪(安全保障上の危機)、飢饉、地震、戦争と自然災害や…

稼ぐまちが地方を変える 誰も言わなかった10の鉄則

自分の関わっている海外の援助の仕事でも、民間セクター開発という分野がある。この本には日本国内のまちおこしだけではなく、海外の民間セクター開発にも役立ちそうなことなアイデアはがちりばめられている。私はコンサルタントなので、当事者ではないでは…

城を攻める 城を守る

「はじめに」で著者は 専門研究家の一部著作を別にすれば、書店店頭に並ぶ城郭本の大半が、復原天守閣のある有名な城を取り上げたものばかりである。 そうした主流派に異議を唱え、「実戦あってこそ、城には魅力がある」ということを強く主張したのが本書で…

斎藤孝の速読塾 これで頭がグングンよくなる!

ジンバブエからの帰国途中に読み終えた。サブタイトルはちょっと...*1だが、書かれていることはなかなか面白く、参考になりそうなことがたくさんあった。速読のためのこの本を手に取ったわけではないけれど、読んだ本を理解する上でいくつか参考になりそうな…

日本に絶望している人のための政治入門

ジンバブエからの帰国中、乗り換えのプレトリアで読了。著者のブログ山猫日記の2014年のブログエントリーを再構成したもの。日本国内の政治情勢から国際政治まで。著者は日本の社会は 現在の日本には、政策のレベルで見る限り、広範なコンセンサスが存在しま…

イスラーム国の衝撃

「イスラーム国」の指導者がカリフに就任したと宣言されてからほぼ1年、いったんは縮小に向かうかと思ったその組織はしぶとく存在し、またこの本で書かれているような「遠隔地での、直接のつながりがない組織による合流の表明」も続き、不安定な中東地域の状…

数学の言葉で世界を見たら

「1たす1はなぜ2なのか」とか、「素数の出現に法則はあるのか」というようなことを聞いてきた娘たちのためにこの本を買ってプレゼントしたけれど、自分も読んでおきたいと思ってKindle版を買ってみた。 第1章から第3章くらいまでは着いて行けていたが、4章の…

日本がわかる経済学

この本のミクロ編にあたる「思考をみがく経済学」を読んでから半年ほど経ってしまった。 経済学の知識がない人にどうやってマクロ経済に関心を持ってもらうか、飯田先生の工夫が見られる。経済政策は人々の幸福のためにあることから始まり、経済政策は成長政…

知ろうとすること

数学文章作法を読み終えたのち、バンコクでの長い乗り継ぎ時間の中読み始め、ダッカの宿に着いても読み続けて読了。 福島第一の原発事故直後、早野先生がどうして情報発信を始め、継続したか、糸井氏がどうやって早野先生と繋がったか、その後二人がどのよう…

数学文章作法

ダッカに向かう途中のバンコクで読了。 自分の考えていることを読み手に伝えるためには、どれだけていねいに文章を準備しなければいけいか について、それこそていねいに書いてある。数学的な部分を除いても、語句から文、段落、節・章、文章の構造、読者の…

鳥獣戯画展

明日からの出張を控え、行っておかなければと思っていた「鳥獣戯画展」へ。13時半頃に東京国立博物館に到着すると、館外の待ち時間は90分ということだった。日差しが強く、一番暑い時間帯で屋外で立ち続けるのは辛かったが、1時間ほどで館内に入ることができ…

『21世紀の資本』のパワー

Voice 2015年3月号に掲載された記事を電子化したもの。これが事実上の『21世紀の資本』の山形さんの「訳者解説」。 今年の1月10日に行われ、その後、Synodosでまとめられたトークイベントと重なる部分もあるけれど、Voice論説のほうが包括的な「訳者解説」に…

ネオアベノミクスの論点

2013年の春頃からアベノミクスの次(アベノミクスに足りないことや、デフレを脱却できた時の次に行うべき経済政策)について若田部先生が情報発信していたこと(オープン・レジームとクローズド・レジーム)や、昨年の12月20日に荻窪ベルベットサンでの田中…

根津美術館

根津美術館に燕子花図屏風と紅白梅図屏風を見に行った。この2つが同時に見られるのは、昭和34年に天皇皇后両陛下ご成婚記念として展示されて以来、56年ぶりとのこと。 もちろん、この2つの図屏風をじっくり見たけれども、「蔦の細道図屏風」もよかった。どれ…

世界が日本経済をうらやむ日

浜田宏一先生と安達誠司さんの共著。最終章の7章以外は濱田先生の一人称の形で書かれているが、安達さんがこれまでに「講座:ビジネスに役立つ世界経済」で書かれたことも載っていて、お二人の共同作品なんだなあという感じが強い。 浜田先生は今月13日のBS…

「中卒」でもわかる科学入門

東日本震災後の科学への不信、そこから派生する疑似科学と、民主党政権下での事業仕分けの際の科学への評価(役に立つ研究)などを踏まえて書かれた本。第1章に書かれている「カネ」の関連お記述はちょっと...というところもあったが、科学について書かれて…

英文法をこわす

筆者の本は「一億人の英文法」を初め、英語の勉強のために何冊か辞書的に使っているけれど、この人はどういうふうに考えて学校英語の文法ではない、感覚とかイメージを膨らませることによる英語の解釈に向かうということを考えたのかと思ってこの本を手に取…