日本に絶望している人のための政治入門

ジンバブエからの帰国中、乗り換えのプレトリアで読了。

著者のブログ山猫日記の2014年のブログエントリーを再構成したもの。日本国内の政治情勢から国際政治まで。著者は日本の社会は

現在の日本には、政策のレベルで見る限り、広範なコンセンサスが存在します。それは、中福祉・中負担の福祉国家運営であり、基本的人権個人主義の尊重であり、防衛主体の軍事力の保持です。

としている。だからこそ歴史認識に焦点が当たり、そこが日本の右傾化を論じる主要論点になっていると。

もう一つなるほどと思ったのが、民主党が失敗した理由について。著者は、一つ目の理由は、経験不足から統治利権との闘いで空回りしてしまったこと、もう一つの理由は地方に根付いたしっかりとした経済利権(全国規模の保守系の地方組織)を築き上げることができなかったことを挙げている。一つ目の理由は実際に多くの人が感じたことであるし、本来であればなんとかリカバーできそう*1なものであるが、二つ目の理由はかなり解決の難しい、重たい理由であるように思われる。「日本の政治は、全国を網羅する保守系二大政党制が確立するか、一党優位の自民党から部分的譲歩を引き出す政党群が存在し続けるかという岐路に立っています」と著者は言うが、日本の場合はあまりにも自民党の経済利権が磐石であるために、後者(部分的譲歩を引き出す政党群が存在し続ける)の方向でしか進んでいけないんではないか、と思うのだけど、どうだろうか。

*1:しかし、現在の民主党はそれさえも難しそう。