逆流するグローバリズム

数日間寝る前にちびちびと呼んで読了。竹森先生の本は、「欧州統合、ギリシャに死す」が出ているけれど、なかなか追いつかない。この本はタイミングよく出版するために、これまでと違って口述筆記の形をとったそうでとても読みやすかった。
2015年春までのギリシアの状況(その後、6月にはIMFの延滞国になってしまった)、その救済を間違えてしまった欧州、特にドイツの「ルール至上主義」、「経済自由主義」(というよりも「オルドリベラリズム」という言い方のほうが正確なのかもしれない)、ギリシアウクライナに支援をするIMFの事情とそれが持続的でなくなる可能性について書かれている。世界経済の落ち込みを煽り、毎年本を出しているエコノミストもいるけれど、竹森先生の分析は、そういう反経済学的なものを感じさせるエコノミストとは違って経済的な分析から導かれているだけにあり得るシナリオのように思う。
この本の最後は、国際経済の中で一定の役割を要求する新興国、特に中国のことが書かれているけれど、その後、中国を始めとする新興国の経済成長は減速している。そういう中で世界や日本が準備すべき「プランB(ユーロ危機やウクライナ情勢の中で世界経済の重心が欧州からアジアにシフトするシナリオ)」はどう書き換えられるべきなんだろう。新著にはそれが書かれているのかな?