稼ぐまちが地方を変える 誰も言わなかった10の鉄則

自分の関わっている海外の援助の仕事でも、民間セクター開発という分野がある。この本には日本国内のまちおこしだけではなく、海外の民間セクター開発にも役立ちそうなことなアイデアはがちりばめられている。私はコンサルタントなので、当事者ではないではないか、ということになってしまうし、日本国内でPFIとか指定管理制度の仕事をしていたこともあるので、耳の痛い話もある。

まず何と言ってもまちづくりの主体は地元の人々(不動産オーナーや地元で生活し、経済活動を営んでいる人たち)であり、行政ではない。

地域活性化事業では現場の実践者が知の最先端であり、大学、コンサルタントなどの調査機関は当事者からのヒアリングに基づいた間接的な情報しか知らない。実践者が自らの経験を体系化し、政策提言するべきだし、実践者が現場で実証するべきである。まちづくりを始めたい人たちは、直接実践者から学んでいくべきであると言っている。

「まちづくりを成功させる「10の法則」」や「まちを変える10の覚悟」以外の部分では以下のところが引っかかった。

  • 3分の1ルール:コスト削減した部分は不動産オーナー、まち会社、未来に向けた投資基金の3分割する。
  • ピンホール・マーケティング:針の穴くらいに小さな市場に徹底的に絞り込むことで逆に商圏を大きくし、実際のビジネスとしては大きく育てることが可能になるという考え方
  • 第三セクターはうまくいかない:民間が稼ぎ、行政も潤す関係ではなく、行政から民間にお金が流れる仕組みになっている。資金の流れが逆。
  • 指定管理制度もうまくいかない:実態としては行政予算に依存し、コストカットだけするという実態が多い。

まちづくりを成功させる「10の法則」

  1. 小さく始めよ
  2. 補助金を当てにするな
  3. 「一蓮托生」のパートナーを見つけよう
  4. 「全員の合意」は必要ない
  5. 「先まわり営業」で確実に回収
  6. 「利益率」にとことんこだわれ
  7. 「稼ぎ」を流出させるな
  8. 「撤退ライン」は最初に決めておけ
  9. 最初から専従者を雇うな
  10. お金のルールは厳格に

まちを変える10の覚悟

  1. 行政に頼らない
  2. 自ら労働力か資金を出す
  3. 「活動」ではなく「事業」としてやる
  4. 論理的に考える
  5. リスクを持つ覚悟を持つ
  6. 「みんな病」から脱却する
  7. 「楽しさ」と利益の両立を
  8. 「入れて、回して、絞る」
  9. 再投資でまち全体に利益を
  10. 10年後を見通せ