城を攻める 城を守る

「はじめに」で著者は

専門研究家の一部著作を別にすれば、書店店頭に並ぶ城郭本の大半が、復原天守閣のある有名な城を取り上げたものばかりである。
 そうした主流派に異議を唱え、「実戦あってこそ、城には魅力がある」ということを強く主張したのが本書である。

と書いている。最近は戦国の山城ブームだけど、その感覚はちょっと古いんじゃないかなあ…と思いつつ読んだ。
合わせて著者は、小説家の書いた歴史研究本は見下されていて、この本は綿密な現地踏査と研究成果を土台にして書いたと言っているが、やはり小説家の人の書いた情緒に訴えかける文書だと思う。
戦争を経験した26の城が出てくるけれど、全体の構成が東日本に偏っている感じ。戊辰戦争はまあ仕方ないかと思うが、西南戦争を経験した熊本城なども出てきて、やはり有名な城を取り上げるために無理しているのではないの?と思ってしまった。
この本で役に立ったのは、一乗谷の発掘について書いた「戦国城下町の考古学」という本を知ったことかな。