NHKさかのぼり日本史(6)江戸 "天下泰平"の礎

さかのぼり日本史」という本なので、江戸時代を扱っているこの本は幕末から三大改革の時代、新田開発の時代、戦国時代を引きずった島原の乱と遡っていくのだけれど、この本の面白いのは、外国船の来訪(安全保障上の危機)、飢饉、地震、戦争と自然災害や人為的な災害を時代のマイルストーンに扱っていることが第1点。
その中で江戸幕府は、

  • 江戸時代初期の武断政治から仁政への転換(未開から文明への転換)
  • 大規模な環境破壊(新田開発)とその限界を踏まえた低成長時代への対応(生産性の向上)
  • 天明の飢饉をきっかけとした幕藩体制の軍事政権から民生重視への転換
  • 蝦夷地の防衛の中での「民命」の重視

と転換していき、これが「徳川の平和」をもたらしたという指摘が第2点。
災害という視点から日本史を研究し、恐らく現在の経済政策についても理解しているだろうと思わせる著者ならではの分析。