羽生善治 闘う頭脳

この本もチビチビと読み進め、ハラレに来て最初の日曜に読み終えた。
羽生さんとは同じ1970年生まれなので、いつもタイトル防衛やタイトル奪取のニュースが気になっている。七冠を達成した1995年頃からの記事といくつかの対談記事のまとめ。対談記事は20代半ばから45歳の現在までの間に行われたものが収録されているのだけれど、自分の将棋の指し方の変化は一貫して同じこと(若い時は先を読むということをしていたけれど、だんだんと大局観で将棋を指せるようになってきた)を話しているけれど、勝負そのものについては飄々としているというか、硬い考えのようなものはない感じで、それが勝負に対するメタ思考的というか、飛び抜けているように感じた。
対談の中で面白かったのは、小川洋子との対談*1と巻末の沢木耕太郎とのもの。小川洋子との対談は、小説と将棋はそれぞれ無限の可能性があるが、前者はルールは作家自身が決めることで不自由になっている部分がある、将棋は分からないことが分かってくるということ、沢木耕太郎との対談は、今から思えば無駄に見るかもしれない小さい頃の膨大な無駄が羽生善治を作っているのではないかという沢木耕太郎の指摘*2

*1:私が小川洋子が好きな作家だからかも知れない。

*2:羽生の言った、高速道路の話も思い出させる。