国際貢献のウソ

主に平和構築畑で国際NGO、国際機関、日本政府で働いてきた著者の見る援助の世界とその改善について。多くは自分の仕事に関連する、特に4章部分は自分の仕事と完全に重なる部分で著者の言うことに理解できる点も多い。
財政状況が厳しい中、日本政府は円借款ODAの水準が減らないようにしているように見えるが、アジアの多くの途上国は円借款にそれほど魅力を感じない(金利は低いけれど、円で返さなければいけないので、途上国側から見れば、元本以外の支払いはそれなりになった)、援助がアジア中心からアフリカへシフトしていく中で、円借款で行うようなプロジェクトの発掘は難しくなっていて、かなり無理している感じ。民間企業でいう「本社経費」みたいなものが大きい(自分もその片棒を担いでいると言えなくもないが)。
一方で(この先どうなっていくかは極めてふと名ではあると思うけど)、アフガニスタンの平和構築に対する日本の貢献は、もうちょっとここに書かれているようなことが一般の人に知られていってもいいように思う。

国際貢献のウソ (ちくまプリマー新書)

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