都市と消費とディズニーの夢

7月、8月、9月のラオス出張の後半は、貧乏人の経済学をちびちび読んでいたけれど、なかなか本を手に取る時間が取れなかった。帰国してしばらくたって、ようやくこの本を読んだ。

  • 現在の都市開発では、隆一かという制約の下で、公共性の高い場所であっても(逆に言えば、公共性が高く、人が集まる場所であるからこそ)地価が高くなり、開発プロジェクトには収益性が求められている。それに対応するためにショッピングモールとして都市施設を作り直す「ショッピングモーライゼーション」が進んでいる。
  • ショッピングモールというと、クルマ中心の郊外開発というイメージが強いかもしれないが、もともとショッピングモールは米国で中流階級の郊外部に合わせて作られた新しいダウンタウンであり、都市中心部の再開発の手法としてのショッピングモール建設もある。
  • 日本ではショッピングモール=ファスト風土化の見方があるが、この見方は誤り。本来、ショッピングモールの整備は中間層・富裕層の台頭と強く結びついていた。日本の場合、大店法によりこの動きが押さえられていて、90年代初頭の規制緩和によって90年代にショッピングモールの建設が進んだ。しかしその時期はデフレ期にあたっており、ファスト風土化はデフレと結びつけて理解するのが適切。
  • ショッピングモールは、世界や都市のリゾートを「消費」という行為を通じてネットワークする共通プラットフォーム。消費するものはモノから時間・体験へと広がってきている。