なんでコンテンツにカネを払うのさ?

本書では、完全なコピーが簡単にできるデジタルな世界の中で著作権をどう考えるかという点が対談のテーマになっている。最終的にはクリエイターがコンテンツ自体から収益を得るのは難しくなり、その周辺で評価経済・贈与経済的な要素を含みながら少数のクリエイターが生き残っていくと考える岡田氏と、その考えを受け入れながらも、そのような状態になる(50年、100年?)までに著作権の強さをどのようにコントロールし、ていくかということを考えている福井氏。
一方で、著作権は、もともと創作者の次の創作活動のインセンティブのために作り出されてきたものだけれど、その概念ができて時間が経って、それに乗っかっている人たち(メディアを作る人やそのマーケティング・流通に関わる人たち)が増え、著作権がその人たちの既得権となってしまっているというのもあると思う。そういう既得権へのしがみつきや、それへの反発が問題をもう一段難しくし、問題をあらぬ方向に導いていきそうな感じがする。例えば、何回も電子書籍元年をしている日本の出版界は、このままでは10年後には全然違う人たちの世界になっているんじゃないかな。

なんでコンテンツにカネを払うのさ? デジタル時代のぼくらの著作権入門

なんでコンテンツにカネを払うのさ? デジタル時代のぼくらの著作権入門