この金融政策が日本経済を救う

優しく書かれているが、なかなか中身の濃い本。プロローグで「変動相場制の下では、金融政策なしに財政政策を行っても効果が出ない」と金融政策の重要性を話し、第1章で日本の場合、世界金融危機によって景気後退が始まったのではなく、2006年の日銀の金融引き締めによって2007年には景気後退が始まっていたこと、現在の世界の中央銀行の金融緩和のなかで一人日銀が何もしないスタンスであれば、金利は上がり、円は高くなり、ますます景気に影響を与えると核心を突くような話。
その後も、海外の物価が上がったら*1通貨供給を増やすべきこと、シニョレッジ効果から考えれば、広義の政府*2による通貨発行は財政支出・減税・社会保証料減額と同時に行われるために金融政策と財政政策の区分はあまり意味がないこと、物価上昇率の1%から3%の目標設定は、物価の安定だけでなく為替の安定の効果もあること、円キャリートレードの効果はそれほど大きくはなかったと考えられること、現在の為替介入は日銀が何もしなければ不胎化は起こらないことなど、「へぇ〜」な話が多かった。

この金融政策が日本経済を救う (光文社新書)

この金融政策が日本経済を救う (光文社新書)

*1:原油価格が上がったら

*2:一般的な政府プラス中央銀行