タイ 中進国の模索

著者の「タイ 開発と民主主義」を学生時代に読んだ。その後、タイは高成長、アジア通貨危機、タクシン時代を経験し、私自身もタイで何度かする機会を得た。で、今はタイの影響を大いに受けている隣の国のラオスで仕事をしながらタイを見ている。ビエンチャンだけ考えれば、(ラオスに人には不快に思われるだろうが)経済的にはほとんどタイの一都市のような感じになってきているので、労働の需給の問題(供給側は高学歴を指向するが、需要側は高卒程度を希望している)などは共通の悩みなんだなあと思いつつ読み進む。
タクシン時代に関する記述も面白い。政権初期は確かに地方経済のテコ入れを行ったが、それは第9次5ヵ年計画に沿って行ったことで、その後の都市重視、輸出を中心とする経済成長重視の政策がタクシン政権の特徴とすれば、いまでもタクシンを支持する農村という構図はタイの人自身も勘違いしている虚構かも知れない。
先週末からまたタクシン派のデモが先鋭化している。タイ正月を控えて、この先どうなるだろう。

タイの首都バンコク最大の繁華街を3日に占拠、大規模な反政府デモに乗り出したタクシン元首相の支持団体「反独裁民主統一戦線(UDD)」は、4日も数万人が路上に座り込みデモを継続した。アピシット首相は自主退去を求めたが、UDD側は「首相が議会の即時解散に応じるまで撤収しない」と徹底抗戦の構えだ。

タイ 中進国の模索 (岩波新書)

タイ 中進国の模索 (岩波新書)

タイ 開発と民主主義 (岩波新書)

タイ 開発と民主主義 (岩波新書)