経済学的思考のすすめ

上念さんが「日本ダメ論」のウソを書いたのと、岩田先生がこの本と福澤諭吉に学ぶ 思考の技術を書いたのは、同じ動機から来ていると思う。二人とも、デフレの害を説き、日銀の金融政策の発動を訴えているが、その声はなかなか一般の人に届かない。一方で、「世間知」による経済本がベストセラーになっている。こういう状況の中で上念さん、岩田先生がそれぞれの方法で情報を自分で消化し、吸収することを説いている。
この本では、経済は帰納法ではなく、演繹法で捉えないと認識を間違えてしまうことが実例を指摘しながら書かれている。その上で経済学の演繹で考える方法や、機会費用インセンティブ・比較優位・合成の誤謬などの考え方、市場原理の重要性、暖かい心と冷静な頭脳を持って市場が実現できないことを修正していくことなどを説いている。

経済学的思考のすすめ (筑摩選書)

経済学的思考のすすめ (筑摩選書)