グローバル経済を学ぶ

リカードの比較生産費説、HSO理論、貯蓄・投資バランスと対外バランスの恒等式など、国際経済学マクロ経済学の基本的な理論を使いながら、グローバル経済について世間で言われていること「世間知」を論破している。基本的なことだけではなくて、HOS理論のいう資源の賦存状況が国の経済発展によって変わること、製品のライフサイクルの中で精算のために集約的に必要となる資源が変わることなども書いてあって、伝統的な貿易理論の弱点である「静態的な理論」を超えようとしているところも見える。
後半の通貨制度の部分も明快。為替の安定、自律的な金融政策、資本の自由な移動の3つは同時には達成できないことを核に、これまでの通貨制度の歴史や通貨危機について書いている。
普通の人でも十分読める内容だし、国際経済学のとっかかりにもいい本じゃないかと思う。

グローバル経済を学ぶ (ちくま新書)

グローバル経済を学ぶ (ちくま新書)