The Hartwell Paper

10日ほど前の[twitter:@kmori58]さんのポスト

にあったThe Hartwell Paperの日本語版を読んでみた。
The Hartwell Paper: a new direction for climate policy after the crash of 2009 - LSE Research Online
以下簡単にまとめ。

  • 昨年末のコペンハーゲンにおけるCOP15の混乱・分裂と気候変動に関するこれまでの分析に対する疑念から、UNFCCC/京都プロトコルを継続できないものになった。
  • 温暖化と脱炭素化の切り離し、気候政策とエネルギー政策の切り離しの必要がある。
  • 脱炭素化は人類への安価で効率的なエネルギーの供給という課題の中で考える。
  • 温暖化対策については黒色炭素(ブラックカーボン)、浮遊微粒子、メタンガス、対流圏オゾンなど、CO2よりも短期的に気候変動に影響する因子を扱うべき。
  • 包括的な3つの目標として、万人に対するエネルギーアクセスの保証、さまざまな変動要因から保全された生存可能な環境の保証、気候変動リスクに対処し、乗り越えることのできる社会を築く(「解決」でなく「適応」)を提示。
  • 炭素税を需要の変動ではなく、新技術開発のための原資として広く、薄く集めることを提案(定率特別目的税)。

このレポートが作られる中で、茅陽一教授が大きな貢献をしたとのこと。レポートの中で茅恒等式というものが示されている。これは、
CO2排出量=人口 x (GDP/人口) x (TE/GDP) x (CO2/TE)
というもの(TEはそうエネルギー使用量、TE/GDP=経済のエネルギー原単位、CO2/TE=エネルギーの炭素原単位)で、CO2排出量削減のためには、人口のコントロールGDPのコントロール、経済のエネルギー原単位、エネルギーの炭素原単位の4つのどれかをコントロールする必要があるというもの。

これまでの温暖化対策の議論に比べると、かなり現実的になってきているように思うのだが、どうだろう。