倭人伝を読みなおす

大学に入る時に経済学部に行くか、文学部史学科に行って考古学をするか悩んだので、森浩一氏の名前は前から知っていた。まだご存命なのかと思ってしまった。

週三回の病院通いをしながら書き終わった。もしぼくが六〇歳最大か七〇歳代で命を終わっていたら、倭人伝についてまとめる機会はなかった。僕は果報者である。

とあったが、これを読むことができる我々も果報者だった。まだ検証すべきこともあるが、ここに書かれている邪馬台国のあり方の仮説には、著者の考古学的な視点と、倭人伝やその周辺の資料を丹念にひも解くやり方が結晶のように結びついている。ここに書かれていることの検証がこの先進んでいくことを期待したい。

倭人伝を読みなおす (ちくま新書)

倭人伝を読みなおす (ちくま新書)