デフレと超円高

3月2日にセミナーに行った岩田先生の本をようやく読み終えた。
デフレと円高の関係の説明から始まり、それがなぜ悪いのか、デフレとは貨幣滴現象であること、日銀の金融政策がデフレの安定化であること、インフレ目標政策の導入でデフレも円高も止められる粉となどを解いている。最新のデフレ本だけあって、ブログやTwitterで見られる構造デフレ論(安値輸入デフレ、生産性向上デフレ、低生産性デフレ、生産年齢人口減少デフレ等々)への反論も準備されている。
これまで見落としていたことに気付かされたのが岡田・浜田論文の解説部分。プラザ合意時には円の実質実効為替レートは急騰*1したが、交易条件が劇的に改善*2したので企業収益は改善し、設備投資ブームと消費ブームに繋がったが、この時の超円高の克服の経験が「日本的経営」の強さのような神話を生み出すことになったというところ。自分たちの持つ「技術」への過信もこの頃から現れてきたんじゃないだろうか。

デフレと超円高 (講談社現代新書)

デフレと超円高 (講談社現代新書)

*1:1985年8月から1986年8月の1年で39%高くなった。

*2:1986年9月は1985年8月に比べて51%の改善。原因は円建て石油価格の低下プラス石油価格自体の低下。