アベノミクスのゆくえ
アベノミクス本の決定版とも言われている片岡さんの本。その理由は強固な分析のフレームワークだろう。それは筆者の言う「3x3のフレームワーク」。3つの政策手段(経済安定化政策、成長政策、所得再分配政策)、3つのステージ(経済情勢の把握、各種政策の選択・実行、政策効果の発言とその上のレジーム)、3つの時点(現在・過去・未来と、ストック市場・フロー市場)。3つの政策手段は他の本でも言われるけれど、3つのステージ、3つの時点を組み合わせたの斬新。このフレームワークでプラザ合意以降の日本経済を分析ている。この部分はアベノミクスの分析というよりも、日本経済そのものの分析。
本書後半では、「3本の矢」と言われているアベノミクスが、「大胆な金融緩和」なしには機能しないこと、これが最も大切なことを説明している。
アベノミクスはまだ始まったばかりで、それが実際の経済にどう効いてくるかは企業業績や雇用に「兆し」は見えるけれど、まだまだこれから。これからも筆者の日本経済の分析に期待したい。加えて、アベノミクスでは取り上げられていない所得再配分政策について提言を出していってほしい*1。
この本は間もなく電子版が出るということなので、電子版も入手してまた読みなおしたい。
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アベノミクスのゆくえ 現在・過去・未来の視点から考える (光文社新書)
- 作者: 片岡剛士
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2013/04/17
- メディア: 新書
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*1:リスレを支持する人たちの中でも、これは様々な考え方があるけれど。