中国台頭の終焉

香港からヨハネスブルグに向かう飛行機で読了。
中国は1990年代後半から2000年代前半を中心に高い経済成長を遂げて来たけれど、短期的、中期的、長期的にそれを妨げる要因があるのではないかというのが筆者の問題意識。短期的にはリーマンショック以降の4兆円の経済対策による投資需要の先食い(合わせて無駄な投資や不動産バブルの発生)、中期的には「国進民退」と都市と農村の問題、長期的には労働人口の減少。その中でも、著者の一番の関心(今であればまだ政策的に対応することが可能であると考えていること)は中期の2つの問題にある。
都市と農村の問題というのは、2004年から05年にかけて自分の中国の仕事でも中心になる問題だった。その仕事は、西部開発の中で中等都市(各省の数十万から数百万レベルの都市)をどのように発展させるかというものであったけれど、その当時から一歩も前には進んでいないように感じる。しかも、「国進民退」(国営企業に有利で、民間企業に不利な様々な政策や慣行)は「上に政策あれば下に対策あり」そのままというか、社会主義市場経済が退化しているというか...。
本書で書いてあることの多くは納得できるが、著者が人口減少デフレ論的なことや岩石理論的なことを書いているのは、やれやれという感じではある。

追記(5月1日)

世界銀行の国際比較プログラム(ICP)がまとめた報告「ICP2011」では、購買力平価で測ったGDPで中国と米国が接近し、今年にも中国が米国を抜くのではないかというのがニュースになっているが...。