エドノミクス 歴史と時代劇で今を知る

飯田先生の江戸時代の経済談義、春日さんの江戸時代を時代劇から切り取った話が並んでいるけれど、やはり飯田先生の経済の話の方に関心が向かう。「歴史が教えるマネーの理論」など、飯田先生の本を読むと、学校の歴史の授業で習った三大改革とその前の時代(荻原重秀、田沼時代など)の評価が、経済の視点からは全く異なることが分かる。この本では、その話がさらにアップグレードされている感じがする。江戸時代は全般的にマネーサプライが絶妙な伸び率だったこと(これが経済発展と幕府財政の維持を助けた)、天保の改革ではマイルドなインフレーションを壊すほどの貨幣の改鋳をしてしまい、それが幕末の金・銀の交換レートの修正をきっかけとした高インフレへと続いてしまった。
春日さんの部分では、最終版の「司馬遼太郎の功罪」の部分が面白い。自分も大学生くらいには司馬遼太郎の小説を時間を忘れるほど熱心に読んだ口だが、どこまでが本当でどこからが創作なのか、今でもまだよく分かっていないことが多いような...。

エドノミクス~歴史と時代劇で今を知る

エドノミクス~歴史と時代劇で今を知る