ODAの経済学

この本の初版が出版されたのが大学4年生だった1992年の6月で、その年の夏休みにはこの本も使って勉強していた記憶がある。「ずいぶん熱い先生だな」というのが当時の小浜先生に対する印象*1。第2版は援助関係の仕事を始めて3年目の1998年に出ていて、それも入手して実家にあるはずだが、おそらく読んではいなかったのだろう。ちょうど1年前くらいに第3版が出ていることに気づき、購入して自炊して、10月の週末を中心に読み進め、読了。
この本を読み進めていくと、ファンジビリティとRandomized controlled trials (RTCs) 、平和構築、MDGs(もう来年は2015年になってしまうけど)のような新しい分野の追加あって、ちょっと全体の統一性は書いているような気はするけれど、初版の頃からの著者の一貫したメッセージは活きているし、参考文献もたくさん載せられているので、途上国の経済について勉強するにはいい本なんじゃないかなと思う*2
日本の経済状況によるところが大きいと思うが、1990年台後半から援助の仕事は今ひとつ活気を失った状態が続いているような気がする。それに伴って日本国内の援助の経済学、途上国の経済分析のような分野も、今ひとつ元気がないような気がする(自分がそういう世界から遠くにいるからかもしれないが)。実際のところ、どうなんだろうなあ。

ODAの経済学 第3版

ODAの経済学 第3版

*1:まさかその20年後には、自分が小浜先生の在籍していた組織で仕事をしているとは思わなかった。

*2:あまり最近の開発経済の本は見ていないけれど。