日本人はどう住まうべきか

数年前、妻が読んでいた本がKindkeでも売り出されていたので買って読んでみた。隈研吾養老孟司の対談集。この本のポイントは「だましだまし=現実主義」なのだろうが、対談部分と最後の隈研吾の長いあとがきにはちょっとニュアンスの違いを感じた。
対談部分では養老孟司が議論を引っ張っていて、「だましだまし=現実主義」一本の話をしている。一方、あとがきでは隈研吾は現実主義の大前提は夢(理想主義)が存在することであり、現実主義と理想主義がタッグを組むことで夢は現実に向かうのだという話をしている。この話を読んで松尾先生の「左翼入門」の「嘉顕」と「鉄二」の話を思い出した。こうなると、対談部分はこの「あとがき」のための長い導入部分だったような気もする。
専門家が書いている専門以外の部分が妙に歪んでいると感じることがTwitterのツイートであるけれど、この対談での養老孟司の言葉にも同じことを感じた。ああ、だからこの人の書いたものはあまり好きではないのだなと思った*1

*1:同じような感じを味わうのは内田樹か。「寝ながら学べる構造主義」は良い本だと思うけれど。