幕末維新の城

南アフリカケープタウン、ダーバンを旅している最中に自炊した本を読了。
「城」というと戦国時代と結びつける本がほとんどだと思うのだが、この本はペリー来航前から西南戦争までの歴史の中で日本のあくちの城がどんな命運をたどっていったかということを丁寧に調べた本。なかなか面白い視点だと思う。
欧州列強が日本近海に来航したり開国要求をする中で作られた城(品川台場五稜郭は知っているが、鯖江城とか福江城などは知る人は少なさそう)、戊辰戦争の中で戦争に巻き込まれた城、版籍奉還廃藩置県による城の命運(廃藩置県をきっかけに取り壊された城が多いことは知っていたが、詳しい経緯は知らなかった)。
この本の中で興味深かったのは戊辰戦争後の江戸城西の丸の招魂祭の部分(170ページ)。江戸城で官軍側の戦没者の招魂祭を行い、敵側は邪霊として扱われたという記述。しかしこれは日本古来の戦没者の弔い方ではないのではないかと、筆者は禁門の変後の孝明天皇による供養(官賊両方の戦死者の供養を行った)。この江戸城西の丸の招魂祭がその後の東京招魂社、靖国神社につながっていったというのが興味深い。官軍側の戦没者の招魂祭を行ったのは長州藩で幕末に始まったとされているが、そのバックにある考え方はどこから来たのだろう。