100分de名著 司馬遼太郎スペシャル

このシリーズ、前々から好きでこれまでに「般若心経」、「ハムレット」、「万葉集」、「風姿花伝」、「古事記」と読んできたけれど、久しぶりにチェックしたら「司馬遼太郎スペシャル」というのがあったので買って読んでみた。

ここここで書いているけれど、学生時代には司馬遼太郎の作品はこの本に取り上げられているものを中心にかなり読んだけれど、どこまでか史実でどこまでが創作なのかよくわからない書き方に「なんだかなあ」と言う感じはあるのだが、著者が磯田道史氏であることもあって手に取ってみた。

この本では、「国盗り物語」、「花神」、「明治という国家」、「この国のかたち」が取り上げられている。今年の3月に放映されていたらしい。

磯田氏は、

作家生活の後半、司馬さんは多くのエッセイや史論を発表するようになったことで、小説家というよりも歴史家と思われるようになりました。本人が好むと好まざるとにかかわらず、「司馬史観」という言葉が使われるようになり、私たちは彼を「歴史家」としてとらえるようになっています。しかし、そのキャリア全体を見れば、やはりその本質は小説を書くことにあったといって間違いないでしょう。

司馬さんは、ただの歴史小説家ではありません。「歴史をつくる歴史叙述家」でした。非常に稀ではありますが、日本史上何人かこうした歴史家は存在します。歴史というのは、強い浸透力を持つ文章と内容で書かれると、読んだ人間を動かし、次の時代の歴史に影響を及ぼします。それをできる人が「歴史をつくる歴史家」なのです。

と言っている。そして司馬遼太郎の作品を読む際には、

司馬作品を読むときには、一定の約束事、言わば「司馬リテラシー」が必要なのです

としている。そしてこの本では、「司馬リテラシー」に基づいて4つの作品を解釈している。

追記 20160911

極東ブログ 」のfinalventさんがcakesで「ローマ人の物語」を書いた塩野七生のことを連載していた。幾つかの記事は、小説(創作)を通じても歴史や文化に触れることができるということが書かれており、この本にも通じるところがある。