数字・データ・統計的に正しい日本の針路

毎週月曜日に更新される高橋洋一「ニュースの深層」の2014年10月から2016年1月までの期間から24編の記事を抜き出した本。経済に関する論説は見覚えがあるなと思うものが多い。2014年春の消費税増税実体経済への影響と同年秋の消費税増税の延期、それ以降の消費の低迷、一方で雇用の改善が進んでいる様子が示されている。

一方で、集団安全保障に関するものはあまり覚えていなかった。リスクとコストで考える安全保障の話(民主党など野党が集団的自衛権によって安全になる可能性を考えていない)、"Triangulating Peace"の分析

きちんとした同盟関係をむすぶことで40%、相対的な軍事力が一定割合(標準偏差分、以下同じ)増すことで36%、民主主義の程度が一定割合増すことで33%、経済的依存関係が一定割合増加することで43%、国際的組織加入が一定割合増加することで24%、それぞれ戦争のリスクを減少させる

は興味深い分析だった。

経済に関してメモしておきたいのは消費税の社会保障目的税化のいきさつ。

消費税の社会保障目的税化が間違いというのは、90年代までは大蔵省の主張でもあった。しかし、99年の自自公連立時に、大蔵省が当時の小沢一郎自由党党首に話を持ちかけて、消費税を社会保障に使うと予算総則に書いた(なお、平成12年度の税制改正に関する答申〔政府税制調査会〕の中で、「諸外国においても消費税等を目的税としている例は見当たらない」との記述がある)

とのこと。消費税の社会保障目的税化はどこかでやめるということにしないと、いつまでたってもここ数年の消費税増税論議が続くことになってしまう。