日本とドイツ二つの戦後思想

この本を買ったときは、日本とドイツは戦争責任の扱いにどのような違いがあったか、というような本かと思ったが、それ以上の内容の本だった。確かに戦争責任を扱う章が始めにあるけれど、戦後の両国の「国のかたち」に対する考え方、マルクス主義を中心とした戦後の思想の流れ、ポストモダンを扱う本だった。特に後半2章は、ドイツ思想を切り口にして日本の戦後思想の流れを知ることができる、とても面白い「知的冒険」だった。
最近、1960年前後からその後にかけて生まれた哲学者や思想家がこれまでの壁を突き破りつつあると思う。現代思想の分野がすごく面白い。
一方でテレビやマスコミの世界に出てくる人たちに欠けるのが、このような分野の本を読んだり、考えたりすることではないかと思う。

日本とドイツ 二つの戦後思想 (光文社新書)