経済的思考のセンス
日本では、経済学者が現実の社会と関わりが深いのはマクロ経済政策の分野で、この本(の特に前半)にあるような応用ミクロ的なものを実際の社会で検証するようなことを目にする機会は少ないと思う。それだけに普通の人からは「こんなの経済学的に考えて意味があるの?」と思われることもあるだろうが、この本に書かれている「節税のために死亡時期が変わっている」という研究結果を見れば、「そういう見方もできるのか」と思えるんじゃないだろうか。
この本に書かれていることで「そうだな」と思ったのは、相関関係を因果関係に安易に置き換えてはいけないということ。世間で因果関係であるかのように言われていることは、原因と結果が反対なのかもしれない。そういうセンスを身につける必要がある。それから、日本の所得格差は最も広がったのは1980年代で人口の高齢化と世帯の変化(世帯人数の減少)が数字で見た所得格差の広がりに大きな影響を与えていること、90年代初めからの成果賃金やフリーターの増加のような要因はこれかた所得格差を広げる要因になるかもしれないというところも記憶しておきたい。
経済学的思考のセンス―お金がない人を助けるには (中公新書)
- 作者: 大竹文雄
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2005/12/01
- メディア: 新書
- 購入: 14人 クリック: 139回
- この商品を含むブログ (110件) を見る