カタールのインフレーション

カタールはここ数年凄まじい経済成長を遂げているが、目下のところ一番の悩みはインフレーション。2007年第3四半期の消費者物価指数上昇率は13.7%。
分野別の消費者物価指数を見ると、土地代・燃料・エネルギー代の上昇が激しく、これがCPI全体の上昇をリードしてきた感じ。これはほとんど土地代の上昇で、2002年から始まっている。これくらいの時期に国土の一部の土地の保有・使用が外国人に許されたり、West Bayのものすごい開発が始まっているらしい。最近では輸入材の値段も上がってきているようで、公務員の給料も6ヵ月ごとに上がっているらしい。

最近ではインフレへの対応について毎日のように新聞記事が載っているが、よくある論調が経済成長のスピードが速すぎるとか外国人労働者を受け入れ過ぎとか言うもの。今ではそういう要因でも説明できるだろうが、根本的な理由はドルペッグ制だろう。カタールを含むGCC各国は2010年の共通通貨導入を目指してドルペッグ制を採用している*1

二つのグラフの数値データーはこちら
カタールは石油・天然ガスの輸出のために大幅な輸出超過の国。ドルに対してもRiyalは高くなる力を持っているはず。しかも最近の経済発展で外国からの投資も増えてきている。そんな中、ドルとペッグするためにRiyalのが増加し、それが不動産開発に周ったと見ることができると思う。最近のインフレは資産インフレが通常材に波及してきているということではないかと思う。
2つの表はAnnual AbstractQatar Central BankのStatistical Bulletinsから作成。

(20080215追記)
その後、Economist.com10635726中東のインフレに関する記事を見つけた。カタールでも、この記事に書かれているような補助金政策(公務員=カタール人の給与や社会保障費の増額)や地代のキャップ制が検討されている。でも、大した効果は期待できないんじゃないか。

*1:オマーンはこのスケジュールでは無理だと言って、2010年を目標にしていない。また、クウェートはドルペッグから離脱し、共通バスケット制を取っている。