あの戦争から遠く離れて

今年の春にNHKでドラマ化されたものの原作。ドラマではこの本の第1部が中心になっていたようだが、印象に残ったのは第2部の著者の中国留学時の反日に関するエピソード*1や中国残留孤児の裁判に関するエピソード。
著者に本当の肉親のように接してくれる牡丹江の親戚と著者が理不尽な反日の批判を受けた英語クラスの受講生、その両極端の単純な感情が複雑に交差するのが現代の中国かも知れない、ちか、「日本人」と聞くと反射的に攻撃的になる中国人の頭の中には「侵略者」、「憎むべき対象」、「歴史を知らない」という抽象的な顔のない「日本人像」があるようだったという指摘が自分にとってのこの本で最も残った部分。

あの戦争から遠く離れて―私につながる歴史をたどる旅

あの戦争から遠く離れて―私につながる歴史をたどる旅

*1:ドラマでも扱われていたが、同時代のエピソードでもあるのでドラマでリアルに表現することは難しいのかもしれない、かなり緩和されていたんだと思う。