もうダマされないための「科学」講義

5人の著者による、まさに現在直面している科学を巡る問題。それぞれの話の中身が濃かったので、それぞれ思うところを簡単にメモしておく。

科学と科学でないもの

疫学的な考え方が重要。ある確率でしか起きないものに対して因果関係を推定する学問は疫学しかない。

科学の拡大と科学哲学の使い道

これまでの科学的思考(モード1科学)とは異なるモード2科学(ローカルな知、問題解決アプローチ、学際的、霞ヶ浦環境保全の例)の存在の確認
モード2科学の存在を認めた上での科学の定義(内容でなく態度で判断)。

報道はどのように科学をゆがめるのか

イチやゼロでないものをどのように伝えるか(ゼロリスク幻想と関連して)。
警鐘や極端には商品価値があり、情報は必ず偏向する。最後は自分で調べることが大切。

3.11以降の科学技術コミュニケーションの課題

欧州ではBSE問題をきっかけに科学技術コミュニケーションが理解から対話へと変化してきた、日本もその影響を受けてはいたが、まだ「科学技術コミュニケーションの理解」が中心だった。
まだ顕在化しておらず、これから起こるリスクへの対応(ナイトの不確実性を思い出した)。
トランスサイエンス・コミュニケーション(問題解決には科学が必要だが、科学だけでは解けない問題)、知識ソースの多元化、科学コミュニケーションと政治的意思決定との接続性、科学技術の社会的対話の場の醸成。

放射性物質をめぐる怪しい情報と不安につけ込む人たち

情報は吟味して、情報拡散は慎重にする。
夕凪の街 桜の国」の話。

もうダマされないための「科学」講義 (光文社新書)

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