統計学が最強の学問である

ちょっと釣り気味のタイトルや、文体が気に入らないという書評もあったが、自分は面白く読むことができた。基本的な統計学の次のステップの統計エンドユーザー向け解説書として面白く読める本だと思う。
著者は30代前後の若い人のよう。それがこの本やこれまで書いてきた本のタイトルや文体にも反映されているのかな。でも疫学や医療統計学を学んだ人のようで、基本的な統計学の知識はちゃんとしているんじゃないかな。
この本のキモは、1. ランダム化比較実験の説明とその限界(疫学的な分析との比較)、2. 広義の回帰分析=一般線形化モデルの解説、3. 様々な統計ユーザー(社会調査、生物統計学、心理統計学データマイニングテキストマイニング計量経済学ベイズ派)などの特徴と主に使用する手法というところかと感じた。
最後に、ベイズ統計と計量経済学の相性がいいという部分があって、その理由に難しいこと*1が書かれている。でもこの部分は、もうちょっと単純に人々や市場の期待(予想)をモデルに取り入れるようになって、その期待は時間の経過によって得られる情報によって変化していくからだろうと思った。さすがにこのようなレベルまでは疫学・医療統計学を専門とする著者では終えないところだろう。

統計学が最強の学問である

統計学が最強の学問である

*1:経済学者がこれまでの歴史の中で作り出してきた理論モデルに現実の値を宛て目用とする時に「理論に基づけば回帰係数がどのような確率でどのような範囲の値を取るか」という事前確率を仮定できるベイズ的な推定方法の方が理論を有効に活用できる。