龍馬史

磯田先生の本は「武士の家計簿」以来ハズレがない。この本もNHK大河ドラマが放映されていた2010年に単行本が出版されたもので、大河ドラマ需要を狙ったのかと思ったけれど、やっぱり面白いものだった。
自分も大学生の頃の「龍馬がゆく」を読んだ口だが、最近の(特に大河ドラマの放映をきっかけとしたと思われる)の龍馬の評価の毀誉褒貶を見てきた。さすがに、「龍馬がゆく」も司馬自身が言っていたように小説の世界だし、かといって完全に全く評価しないというのもどうかと思うし。
こんなことを考えつつ、この本を読んでなるほどなあと思ったのが、龍馬の一番の功績は海軍(しかも自分の)を作って運用したことというくだり。あと、著者のこの言葉。

よく勝者が歴史を作るといわれますが、これは私にいわせれば大嘘です。
確かに戦争直後は勝者が歴史を作りますが、しばらく経ってからは敗者が歴史を作ろう、作り直そうとする。危害を与えられた方が、歴史にはこだわります。

龍馬史 (文春文庫)

龍馬史 (文春文庫)