この世で一番おもしろい統計学

この世で一番おもしろいミクロ経済学」、「この世で一番おもしろいマクロ経済学」に引き続く三匹目のどじょうを狙った本。ストーリーを書く部分での著者は代わっているけれども*1、その試みはうまくいっていると思う。
というのも、訳者の山形さんが「訳者解説」で書いているように他の統計入門に比べたら思い切った省略をしていること。「標本を見て母集団について何かをいうのが統計学だ」というところから離れず、中心極限定理を使って正規分布の話に(いい意味で)まとめてしまっている。本編では正規分布しか出てこない。その状態で母平均や信頼区間の推定、仮説検定の話まで持って行っている。
統計学は何をしているかということに素早く行き着くためにはこの本はいいと思う。実際に自分で統計分析をするためには、この本の後で「完全独習 統計学入門」で手を動かしてみるのがいいんじゃないかと思う。

この世で一番おもしろい統計学――誰も「データ」でダマされなくなるかもしれない16講+α

この世で一番おもしろい統計学――誰も「データ」でダマされなくなるかもしれない16講+α

*1:マンガ部分を書いている人は同じ人。