戦国の群像

戦国の合戦」を読み終わってすぐに読んだ。3月に読んだ「戦国の城」と合わせて、この3冊で三部作ということらしい。

さすがに3分作の3作目ともなると、以前他の本で出てきた話題がまた出てくるというようなことがままあった。もしかしたら、もともと戦国時代の城、合戦、生活を語る大きな本が編集段階で3つに分けられたのかもしれない。

この本では戦国の人々の生活を、戦国大名、家臣団、百姓、商人、職人、女性、僧侶・文化人に分けて、それぞれに章立てて説明している。戦国大名や家臣だけではない戦国時代の社会や騒乱による混乱や悲劇を描き出そうとしていることは伺える。著者も、「戦国武将にも論及しているが、むしろ中心は武将以外の「その他の人びと」である」と書いている。

戦国大名と民衆の関係についても、

大名権力は民衆から選ばれた存在でもあった。そこで、大名は、民衆の安全を守るつとめも負わなければならなかったのである。つまり、危機管理能力が求められることになった。民衆は、自分たちの安全を守ってくれる者を領主として、安全保障の対価という意味をもたせて年貢や諸役を払うといった側面があったのである。単なる支配・被支配の関係ではなく、一種の契約が成りたっていたことになる。

という記述があったりして、近年の戦国時代の解釈の変化も踏まえている。

戦国の群像 (学研新書)

戦国の群像 (学研新書)