World Energy Outlook 2008

International Energy Agency (IEA、国際エネルギー機関)が2008年のWorld Energy Outlook(世界エネルギー見通し)を発表している。昨年から石油・ガスの国で仕事をしているので、将来の世界需要を語るときに、これと
米国政府のEnergy Information Agency (EIA)のInternational Energy Outlookは外せない。主要な点を取り上げてみると、

  • Reference Scenario*1では世界のエネルギー需要は、2006年から2030年までに45%増加する。年率1.6%*2。増加エネルギーのうち、石炭由来のものが全体の3分の1を占める。
  • 増加エネルギーのうち、インドと中国の需要によるものが全体の半分強を占める。その他中東の需要も大きく伸び、非OECD加盟国の1時エネルギーシェアは2006年の51%から2030年の62%に増加する。
  • バイオ燃料を除く石油への需要は2006年の日量8500万バレルから2030年の日量1億600万バレルに増加する。年率にして1%の増加。1次エネルギー全体のシェアは、34%から30%に減少*3。新たな石油需要は全て非OECD加盟国からのもので、OECD加盟国の需要は減少する。
  • 天然ガスは年率1.8%の成長で2030年のシェアは22%(微増)。利用目的はほとんどが発電。石炭は年率2%の上昇で、シェアは26%から29%に増加。石炭の増加のうち、85%が中国・インドの発電目的。原子力のシェアは6%から5%に微減。再生エネルギー*4は年率7.2%で増加。
  • エネルギー投資は2007年から2030年までの間に26兆ドル(2007年価格)*5。電力が全体の52%を占める。その他の部分の多くは石油・ガスの調査・採掘の費用。
  • 石油価格(輸入価格)は、2008年から15年までは1バレル100ドル(2007年価格)から、2030年までには1バレル120ドル(2007年価格)に上昇する。名目では2030年に200ドル。
  • 石油供給先はOPEC加盟国の集中が一段と強まる。シェアは2007年の44%から2030年の51%に増加。
  • 天然ガスの生産の集中も進む。2006年から2030年までの生産増加のうち、46%が中東で生産され、そのうちの60%が自地域内の電力セクターに使われる。

*1:各国政府は2008年半ばまでに導入した政策手段以上のものを導入しない。

*2:昨年版では55%の増加、年率1.8%と言っていた。減少の理由は石油価格の高騰と先進国における経済の落ち込みのため。

*3:昨年版では2030年に日量1億1600万バレルと推定。

*4:バイオ燃料、水力除く

*5:昨年版より4兆ドル増加