ご当地アイドルの経済学

この本は「AKB48の経済学」の続編でもあり、「「30万都市」が日本を救う!」の続編でもある。文化の経済学的分析と地方経済の分析が結びついたような本。冒頭は田中先生と1章NGT48のリーダー北原里英との対談で第1章ではNGT48、第2章ではAKB48グループの地方…

戦国の城

息抜きの読書。歴史の本、特に戦国時代や幕末の本はさくっと読めて気分転換になる。都道府県レベルの調査でも各県で中世の城郭遺構が数百から千以上見つかっているとのこと。全国で言えば5万件以上で、しかもその多くは戦国時代のもの。著者は、戦国時代に城…

宇宙は何でできているのか、重力とは何か、強い力と弱い力

実際には、「強い力と弱い力」(昨年11月)⇒「重力とは何か」(昨年12月)⇒「宇宙は何でできているのか」という順番で読んだけれども、私のように高校から文系で、素粒子論とか宇宙論のことをあまり知らない人は、この反対に「宇宙は何でできているのか」⇒「…

経済政策で人は死ぬか? 公衆衛生学から見た不況対策

「経済政策で人は死ぬか?」の答えはイエスだということを、この本では1930年代の大恐慌期、ソ連崩壊後の旧ソ連、東欧諸国の経済混乱、アジア通貨危機、リーマンショック以降の金融恐慌(アイスランドとギリシャ)の歴史的経験と、医療制度の改変、失業対策…

人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの

ジンバブエでの出張中に読んだ。 最近、AIに関するニュースをよく見るようになった。将棋の電王戦、IBMのワトソン、GoogleのDeepMind、身近なものでいえば写真アプリの顔認識など。著者によると、今は3回目のAIのブームとのこと。第1次は1956年から1960年代…

僕が伝えたかったこと、古川亨のパソコン秘史

ジンバブエで地方回りをしている合間に読み始め、数日で読了。自分が記憶に残っている古川亨氏は、1990年代初めの時期で、マイクロソフト日本法人の社長で坂本龍一の活動で盛んに友人として出てきていた記憶がある*1。以前どこかで聞いたことがあったが、実…

すごい家電 いちばん身近な最先端技術

1月下旬に読み出し、ジンバブエに向かう機中で読み終えた。洗濯機、冷蔵庫、掃除機、電子レンジ、炊飯器、テレビ、ビデオレコーダー/ブルーレイディスク、デジタルカメラ/ビデオカメラ、エアコン、照明、電動シェーバー、マッサージチェア、トイレ、電気給…

「30万都市」が日本を救う!

最近、もっぱら本は自炊するか電子書籍で読んでいたのだが、この本は本当に久しぶりに本の形で読んだ。ナミビアに出張に向かう途中、ヨハネスブルグに向かう機内で読了。気になった部分に付箋を貼り、読後に写経をした。 この本の構成は田中先生による序論と…

日本人が知らない集団的自衛権

昨年の春から夏にかけてずっと議論されてきた安全保障関連法。9月19日に関連法が可決され時期を逸してしまった感はあるけれど、ようやく読み終えた。40個のQ&Aに答える形で集団的自衛権、日本国憲法・日米安全保障条約・国連憲章の解釈、実際に想定されるケ…

真田四代と信繁

NHKの大河ドラマは出張中はほとんど見ることができず、今年は出張期間が長いので、ストーリーを追えるほどに見ることは難しそう。それでも、最近明らかになった史実をドラマに組み入れたりしていて話題になっているので、時代考証を担当されている先生のまだ…

いちえふ

普段、コミックはほとんど買うことはないのだけれど、 専門とは少し離れますが、がちで一つ選ぶなら「いちえふ」を選ぶと思います。第一級のルポルタージュだと思っています。 という神戸大木村先生のTweetを見て、Kindle版3冊を買い、バングラデシュの出張…

日本仏像史講義

ずっと以前に買った「仏像のひみつ」、「続仏像のひみつ」がなかなか良い本だったので同じ著者のこの本を手に取ってみた。これらの本とは違って、もう一段学術的な記述が多い感じ。紹介されている仏像の写真を横に置きながら読みたい。この本を読んで、やは…

「学力」の経済学

2016年に入って読み始めた本。バンコクからダッカに向かう飛行機の中で読了。「教育」は多くの人が自分の経験*1から何かしらの考えを持っていて、それに基づいて語ることができる。しかし、それは個人的な経験であって、「なぜその主張が正しいのか」という…

福島第一原発収束作業日記

2013年の秋に単行本が出て間もなく購入したけれど、積ん読になってしまっていた。その後、Kindle版が出たので買いなおし、この年末年始の休みにようやく読むことができた。はっぴーさんのツイートは福島第一原発の事故以降、2011年の春頃からはフォローして…

ベーシックインカム 国家は貧困問題を解決できるか

田中秀臣先生の主宰する「2015年心に残る経済書ベスト20」で1位になった本書を、2015年もあとわずかという時期にようやく読了。 2015年3月に日銀審議員になり、Wedgeのコラムや本はしばらくは読むことができなくなるかもしれない、と思いつつ読んだ。 ものご…

21世紀の資本

2014年の年末に紙の本を買い、2015年初めに自炊して読み出した。iPad miniの小さな画面ではこの本のサイズを読むのはちょっと辛く。もっと大きな画面で読むためにと思ってiPad Air 2を買ったが、4月末にKindle版が出たので買ってしまった。12月の年の瀬に入…

ネットフリックスの時代

出張先のバングラデシュで読了。1年の半分以上を海外で過ごしていることもあって、なかなかテレビを見る機会はない。NetflixやHuluが日本でサービスを始め、Amazonがプライムビデオでプライム会員であればそのまま見ることができるというのも、なんか自分の…

知的生産の技術とセンス 知の巨人・梅棹忠夫に学ぶ情報活用術

梅棹忠夫の「知的生産の技術」をはじめとする彼の著作に描かれている情報の収集・蓄積・活用の方法をヒントに、それを今の時代にデジタルツールを使って行うためにはどうすればよいか、について書かれた本。この本に書かれている「巨人の肩に乗って」先人の…

世界は危機を克服する ケインズ主義 2.0

ジンバブエの出張から帰国する10月末に読み始め、ナミビアへの出張を挟み、バングラデシュん向かう飛行機の中でようやく読み終えた。もうちょっとインテンシブに読みたかった。リーマンショック以降の世界経済危機がどのように生じ、それに対して各国の政策…

歴史認識とは何か

自炊をして読んだが、読み終えた後にKindle版が出て、改めて自炊本にチェックした部分を読み直してみた。著者は序章で日本の歴史教育の問題点は歴史理論を学ばないことにあるとし、史料に基づいて研究を深めていけば、普遍的に受け入れ可能な「歴史的事実」…

数学ガールの秘密ノート 整数で遊ぼう

数学ガールの秘密ノート 式とグラフに引き続き読んだ。Kindle固定レイアウト版での読書記録の取り方を考えるために2回読んだ。1回目はそのまま、2枚目はiPad Air2上でスクリーンショットを撮って、GoodNotesでマーキングやメモをしながら。メモは取れるが読…

数学ガールの秘密ノート 式とグラフ

数学ガールは以前読んだけれど、中盤以降かかなり苦労して読み進んだ。やっぱりもっと初歩から行かなければと思ってこの本を手に取ってみた。「算数」の世界から「数学」の世界に入ってきた中学生が読むのにちょうどいい感じ。つるかめ算で現実の世界と数式…

羽生善治 闘う頭脳

この本もチビチビと読み進め、ハラレに来て最初の日曜に読み終えた。 羽生さんとは同じ1970年生まれなので、いつもタイトル防衛やタイトル奪取のニュースが気になっている。七冠を達成した1995年頃からの記事といくつかの対談記事のまとめ。対談記事は20代半…

辞書編纂者の、日本語を使いこなす技術

ジンバブエに仕事に向かう途中、ヨハネスブルグに向かう機中で読了。 雑誌の連載をまとめたものなので、一つ一つの話のまとまりは小さく、息抜きの読書にちょうどいい。なるほどと思ったのは、 敬語をうまく省いて職場の同僚などとの関係を知覚すること 「わ…

逆流するグローバリズム

数日間寝る前にちびちびと呼んで読了。竹森先生の本は、「欧州統合、ギリシャに死す」が出ているけれど、なかなか追いつかない。この本はタイミングよく出版するために、これまでと違って口述筆記の形をとったそうでとても読みやすかった。 2015年春までのギ…

ウソを見破る統計学

講談社ブルーバックスシリーズの本を電子書籍で読むのは初めてだけれども、縦書きでこれだけ数式などを書いてあるわけでないのであれば、固定レイアウトじゃなくてもいいのではないかと思うのだが。メモやしおりを置くこともできないし。 「統計学入門」の前…

「昭和天皇実録」の謎を解く

久しぶりに自炊した本を読んだ。読み終わって確認したら、Kindle版も出ていた。 この本を手に取った理由の一つは磯田先生が著者(というか対談者)に入っていたからなのだが、幼少期、青年期だけでその後は半藤一利、保坂正康を中心に御厨貴が参加する構成だ…

NHKさかのぼり日本史(6)江戸 "天下泰平"の礎

「さかのぼり日本史」という本なので、江戸時代を扱っているこの本は幕末から三大改革の時代、新田開発の時代、戦国時代を引きずった島原の乱と遡っていくのだけれど、この本の面白いのは、外国船の来訪(安全保障上の危機)、飢饉、地震、戦争と自然災害や…

稼ぐまちが地方を変える 誰も言わなかった10の鉄則

自分の関わっている海外の援助の仕事でも、民間セクター開発という分野がある。この本には日本国内のまちおこしだけではなく、海外の民間セクター開発にも役立ちそうなことなアイデアはがちりばめられている。私はコンサルタントなので、当事者ではないでは…

城を攻める 城を守る

「はじめに」で著者は 専門研究家の一部著作を別にすれば、書店店頭に並ぶ城郭本の大半が、復原天守閣のある有名な城を取り上げたものばかりである。 そうした主流派に異議を唱え、「実戦あってこそ、城には魅力がある」ということを強く主張したのが本書で…